まずは「道路構造令の解説と運用」を読み込もう

立場は明かさないが(今まで色々変わっている)、私はずっと「道路設計」の仕事をしている。詳細設計(工事の直前の段階)よりかは少し上流側の仕事が主で、道路の基本的な線形を決める(平面線形や縦断線形、片勾配計画や視距の拡幅など、幾何構造全般を決定する)ような仕事が多い。

色んな関係者と話をしていると、この「基本的な線形を決める」という部分の流れや留意点などがあまり理解出来ていない人というのは老若を問わず結構多い。

例えば「若い人」だからと言って「知らない」では済まされない。それを「仕事」としてお金を稼ぐ以上は、その道のエキスパートとして必要な事柄の全てを知っている必要がある。

現実論として、全ての事柄を個別具体的に「全て知っている(覚えている)」というのは無理だろう。

ただ、例えば土木設計なら「道路設計」とそれ以外の設計(橋梁やトンネル、その他の構造物などの設計)に分けられるとして、「道路設計」に携わる者であれば、その立場や老若を問わず「道路の基本的な線形を決める際の流れや留意点など」は知っておくことが強く望まれるだろうと私は思う。

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真っ白な地形図の上に、起点と終点だけポイントが決まっていて、その間を結ぶ「道路」を計画する際には、主に平面線形と縦断線形をシンクロさせながら考えて、更に付随する横断勾配や合成勾配や視距なども考えながら計画を進めることになる。

それに着手する為には、まず「前提条件」(設計条件)が必要である。計画する道路の「道路種級」「設計速度」「車線数や幅員構成」その他の条件が無ければ設計(計画)は出来ない。

もちろん、それらの条件は前段階で決まっていて(誰かがどこかで過去に決めていて)所与の条件として与えられることも多いが、必要な条件の一部しか決まっておらず残りは自ら決める(提案する)必要がある時もある。

また、そうして決まった「設計条件」が実際の線形計画においてどのように関係してくるのか、どのような「制約」として働くのか、それが理解できた上で計画(設計)を進めなければ何の意味も無い。

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かなり端折って書くと、

・計画交通量など大きなファクター①があり、

・それによって道路種級や設計速度などの設計条件②が決まり、

・決まった設計条件によって細部③が制約を受ける

というような流れになっていて、①、②、③ともにそれぞれの内容は多岐にわたるのである。

それらをしっかりと理解するには、まずは「道路構造令の解説と運用」という書籍(技術書)をしっかりと読み込むしかない。

この「道路構造令の解説と運用」に関して「規定値が載っている一覧表」的な見方(使い方)をしているケースは多いと思われるし、実務では時間の制約などでそうならざるを得ない時も多いのだろうが、技術者としてはそれだけではダメなのであって、自らがまだ未熟な道路技術者であるという自覚のある人は、時間が空いている時にでも「繰り返し熟読」する必要があるだろう。

他にも技術書(基準書)は多数あり、どれが必要でどれが必要ないかは人それぞれの立場や仕事内容で様々だろうが、「道路構造令の解説と運用」だけに限って言えば、道路設計の技術者である限り「詳しく知らなくても良い」なんて有り得ないし、また詳しければ詳しいほど相手からも信用される。

自らがまだ未熟な道路技術者であるという自覚のある人は、まずは「道路構造令の解説と運用」を読み込むところから始めてほしい。