【縦断線形】ブロークンバックカーブについて詳しく解説します

はじめに

道路の縦断線形の勾配変化部には、縦断曲線(バーチカル)を設置します。

下図のように、前後の同方向のバーチカルに挟まれた「短い直線」が存在するような線形は「ブロークンバックカーブ」と呼ばれ、「好ましくない線形」とされています。日本道路協会から発行されている「道路構造令の解説と運用(平成27年6月)」(以下、「解説と運用」と略します)のP.295にも記載があります。

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以下、これの解消方法などを解説します。なお、本記事の添付図は全て「横1:縦5」となっています(縦方向に5倍大げさに書いています)。

ブロークンバックカーブの解消方法

上図をサンプルとして、それを解消する形で解説していきます。

解説と言っても内容は簡単でして、下図(黒線が解消前(上図と同じ)の状態で、赤線が解消後の状態)の通り、前後の勾配をそれぞれ中央部に伸ばしてきて交点を作り、そこに「元々の計画高とあまり変わらないようになるような半径のバーチカル」を設置すれば終わりとなります。

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計画の下に横断ボックスなどのコントロールがある場合は、上図のように「元々より少し高くなる」ように設定すれば良いですし、逆に計画の上に跨道橋などのコントロールがある場合は、「元々より少し低くなる」ように設定します。

今回の解説は「凸型」でしたが、「凹型」でも全く同じ内容となります。

以上で解消方法の説明は終わりです。以下、付随する留意点を記します。

どの程度の短さの直線までは許容するか

例えば下図のように「175m」の直線があった場合、これは「短い」と言えるのか?すなわち「ブロークンバックカーブ」に該当するのか?という問題がありまして、これは結構悩ましい問題です。

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と言うのも、この「ブロークンバックカーブ」と言うのは今回の「縦断線形」のみならず、「平面線形」でも好ましくないとされており、平面線形の場合は「解説と運用」P.293の解説の中に「直線部を設ける場合は500m以上が望ましい」という旨の記述がありますので、500mを割り込んでいれば「ブロークンバックカーブ」だと判断出来るのですが、縦断線形の場合は「解説と運用」P.295の解説の中にも長さに関する記載が特にありません。

上図のように直線が「175m」もある場合は、さすがに冒頭で述べた「1つの大きなバーチカルでまとめる」という方法では「元々と大きく変わらない高さを押さえる」という面では無理があり、これを押さえながら直線を解消しようとした場合、平面線形における解消方法と同様の「複合曲線」とするしかありません(下図)。

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このような「複合曲線」は、以下の理由により、私は原則として採用しておりません

・「解説と運用」P.296で述べられている解消方法はあくまで「1つの大きなバーチカルでまとめる方法」(冒頭で解説した方法)であり、上図のような「複合曲線」は述べられていない。

・凹型の場合、「解説と運用」P.297で述べられている、好ましくない線形である「サグ部に必要以上に大きな縦断曲線を入れる」形に該当する恐れが高くなる。

以上により、個人的には、

無理なく「1つの大きなバーチカルでまとめる」形で解消出来る場合はそれを採用し、それでは無理なほど直線の長さが長い場合は、そのままとしておく

という感じで考えています。

おわりに

以上、縦断線形における「ブロークンバックカーブ」について、詳しく解説してみました。