【横断勾配】道路の標準横断勾配は1.5%か2.0%のどちらか?を詳しく解説します

はじめに

道路設計において、直線部など「片勾配を付さない区間」には、排水上必要な最小勾配である「標準横断勾配」を付します。

さて、道路構造令(の解説と運用)では、この「標準横断勾配」の値は1.5%の場合と2.0%の場合があり、その使い分けは明確に規定されています。

それに関することを、今回は簡単に解説します。

なお、日本道路協会から発行されている「道路構造令の解説と運用(平成27年6月)」のことを、以下の文中では「解説と運用」と略して記します。

車線数で使い分ける

今回述べる内容に難しい点は一切なく、見落としや勘違いさえ無ければ誰でも間違えないような、簡単に理解できるような内容となっています。

標準横断勾配が1.5%なのか2.0%なのか、その使い分けは、単純に「車線数」で判断します。「解説と運用」P.437に以下のように明記されています。

・片側1車線の場合…1.5%
・片側2車線以上の場合…2.0%

従って「道路構造令(の解説と運用)」に準拠する場合は、原則的に上記の通り使い分けます。

基本的な説明は以上です。以下、留意点等を記します。

■1車線(一方通行)

断面図の例を以下に示します。

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このような幅員構成のケースは「インターチェンジのランプ」が圧倒的に多いのですが、NEXCOなど別途基準の路線とは全く無関係のインターチェンジ「道路構造令(の解説と運用)」に準拠するランプであるにも関わらず、1.5%ではなく2.0%で設計されているケースを何度も見かけたことがあるのですが、1車線であれば1.5%が正解です。

上で引用した「解説と運用」P.437の規定はいわゆる「本線」部分の規定ですが、インターチェンジのランプに関する部分を見た時、以下のようになっています。

・「解説と運用」P.542に規定されるランプの片勾配について「標準横断勾配が1.5%の場合」まで規定されている。

・「解説と運用」P.552に規定されるランプの逆片勾配の許容の規定について、2.0%の場合と1.5%の場合が同列で記されている。

以上のような部分を見る限り、ランプにも「1.5%と2.0%の場合がある」と考えるのが自然であり、かつその使い分けがランプの規定では明記されていない以上、先に述べた「本線」部分の規定(車線数で使い分ける)に準拠するのが自然であると私は考えています。

なお、例えばNEXCOの「設計要領」ならランプの片勾配の規定や逆片勾配の許容の規定に関して1.5%の規定は載っておらず「2.0%」に限定して規定されていますので、標準横断勾配は「車線数に関わらず2.0%」と判断するのが妥当と思います。

■片側1車線

断面図の例を以下に示します。

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先に述べた「ランプ」とは異なり「間違って2.0%を採用している」ケースを見かけることはそう多くありません。

留意点として気づく点を以下に記します。

平面交差点などにおいて付加車線を設置する場合、その区間だけ局部的に「片側2車線」となる場合がありますが、そのような場合は1.5%で通します。自分でもそのように設計しますし、記憶の範囲では、今まで見た他者の設計も全てそうされています。

登坂車線など付加車線が何百メートルと延々と続く場合は、その都度確認するのが良いと思います。

■片側2車線以上

断面図の例を以下に記します。

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これも「間違って1.5%を採用している」というケースは滅多に見かけないと思いますし、本当に議論の余地はなく「2.0%」で良いと思われます。

おわりに

以上、道路の標準横断勾配における1.5%と2.0%の使い分けに関して詳しく記しました。